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12月31日
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12月31日
今月のエッセイに、高橋将夫さんの「コロナ禍の中で」を掲載しました。
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2022年1月のエッセイ

コロナ禍の中で

高橋将夫

 76年の人生の中で台風や地震など多くの災害を見てきた。「まるで夢みたい」というが、それは言葉の綾で、それらの惨状はあくまでも厳しい現実として胸に迫ってきた。ところが、新型コロナが地球的規模で蔓延し始めた時、「これは夢ではないか」と本当に夢のように感じた。この未曾有の事態を私の脳は現実として受け入れられなかったのであろう。

 その後、感染は鎮静化しそうになっては再燃し、外出自粛が長期に渡り、吟行や俳句大会は中止となり、句会は休会が続いた。私の場合、俳句は「精神の風景、存在の詩」と考え、作者の精神(心)に投影される景には、眼前の景に留まらず、広く過去の体験、知識、思想なども含まれると思っている。

 俳句の素材は自然だけでなく、人間も含まれる。作者の主観を通して、あるいは主観から生じた景であるから、リアルなものもあれば、シュールなものもある。日常があれば非日常の世界もある。風土もあれば、宇宙だってある。見える世界ばかりでなく、見えない世界だってありうる。

 そんなわけで、外出自粛や吟行ができないことは私の作句活動にとって大きな障害とはならなかった。問題は句会や俳句大会ができなかったことである。作句のモチベーションが下がるということもあるが、句会への禁断症状が出るのである。緊急事態宣言が解除となり句会が再開された時の出席者の晴れ晴れとした様子は強く印象に残った。「俳句は座の文芸」とはこういうことなんだと肌で感じた。

 誌上句会やインターネット句会は従来から行われており、リモートでの句会も推奨されたが、やはり対面での句会には遥かに及ばない。結社の全国大会に地方から一人で参加した会員が懇親会で普段面識のない人達が自分も含めまるで旧知の友のように歓談しているのが不思議だと語っていたのを思い出す。

 令和2年10月に「槐第29回総会・俳句大会」を開催。なぜコロナ禍のこの時期にとの意見もあったが、敢えて実施した。1年後も感染者がゼロになることはないだろうから、今回やれないということは節目の槐創刊30周年記念大会もやれないというに等しいと思ったからである。幸い大会は無事終了し、槐創刊30周年記念大会に希望を繋ぐことができた。

 ところが、その直後からコロナの第3波が来て、一息つく間もなく第4波にみまわれ、遂にはデルタ株の第5波で感染者が急増。この過程でほとんどの結社は周年事業や俳句大会の中止を余儀なくされた。

 ところが、その後の感染者急減と緊急事態宣言解除の環境下で幸運にも槐創刊30周年記念大会は無事終えることができた。それでも、開催までの間、毎日感染状況に一喜一憂したあの思いは二度としたくないし、来賓の方々にかけた心労に対する主催者としての葛藤は今も心に残っている。

 ワクチンや治療薬ができて新型コロナの脅威は遠のいたものの、根絶することは出来そうもないので、結局はインフルエンザのようにウイルスとの共存というか、並存を前提として日常生活を送る中で工夫をして句会や俳句大会を続けて行くことになるのだろう。

(以上)

◆「コロナ禍の中で」:高橋将夫(たかはし・まさお)◆

  

■今月のエッセイ・バックナンバー

◆2021年

タイトル 作 者
12月 ふる里の「男爵いも」 宮武孝幸
11月 季語の周辺 津野洋子
10月 澪とワタシ とよだ澪
9月 峰定寺と日本一の花脊の杉 仲井タミ江
8月 だまし絵としての「第二芸術」 鈴木ひさし
7月 僕と俳句 西田唯士
6月 今後 横井来季
5月 北国の春 音羽和俊
4月 屋根と花 小西雅子
3月 俳句とコミュニケーションについて 妹尾 健
2月 形見の餅 上森敦代
1月 新型コロナ時代の句会 岡田耕治

◆2020年

タイトル 作 者
12月 見るということ 石井 冴
11月 雪国と酒粕 村田あを衣
10月 窯神 山田 和
9月 夢ものがたり 三木星童
8月 縁―正岡家の人々 瀬川照子
7月 鶏の話 千坂希妙
6月 再会 江島照美
5月 八ヶ岳縦走記 植田かつじ
4月 水仙花 中村純代
3月 四郷の串柿 満田三椒
2月 学生結婚と情熱と言葉 衛藤夏子
1月 ひととせの蝶 鈴鹿呂仁

◆2019年

タイトル 作 者
12月 言葉に出会う 榎本祐子
11月 いまを生きる 山﨑 篤
10月 雅号の薦め 吉田星子
9月 「変容」について 金山桜子
8月 鯰と鼬 髙木泰夫
7月 レオン 横田明美
6月 茨木市、一つの俳句史 藤井なお子
5月 俳句に気を許す 塩見恵介
4月 あるコンサートで思ったこと 吉田成子
3月 初学のころ 久保純夫
2月 便船塚 おおさわ
ほてる
1月 観光公害 宇多喜代子

◆2018年

タイトル 作 者
12月 新とか旧とか 小林かんな
11月 三種の神器 出口 善子
10月 「卒業」の話 野住 朋可
9月 ヒロシマの首飾り 花谷  清
8月 朱夏のネアンデルタール人 柳川  晋
7月 一人がため 曾根  毅
6月 兜太氏と秩父の思い出 桂  凜火
5月 選のチューニング 小池 康生
4月 高野素十のコントラスト視点 橋本小たか
3月 式年開帳 蔵田ひろし
2月 わたしの俳句観 平田 繭子
1月 炉話のこと 宇多喜代子

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