関西現代俳句協会

会員の著作(2025年事務局受贈分)

  句集

『ひかりあふうを』

金山桜子

ふらんす堂 2025年8月11日発行



  針のごとくひかりあふうを神の留守

 ああ、ここには「静かな頑固」の世界がある、と思った。句の素材の選び方とその述べ方とに、一貫した姿勢が感じとれるのだから。

江里明彦・・・・・栞文「小さいいのちの大きな働き」より

 

 <針のごとくひかりあふうを神の留守>。しばらくして、文字と像が一致する。この時点で既に、読み手である私は金山桜子の世界に包まれていたことになる。

久保純夫・・・・・栞文「『ひかりあふうを』という贈り物」より

 

 対象となる物や景に対する細かな観察が行き届き、句形がよく整っている。このすぐれた句集が良き読み手に出会うことを願っている。

岸本尚毅・・・・・栞文「『ひかりあふうを』を読む」より

 

 句集を編んでいてあらためて感じたことは、日々の出来事に驚きやささやかな喜びがあるということでした。

金山桜子・・・・・「あとがき」より


○帯「自選十五句」より

 てつぺんは日に透けてゐる栃の花

 影尖る舳先や鮎のあらはるる

 鳥渡る遠ざかりつつ入れかはり

 はんざきの流木に羊歯芽吹きけり

 ゆるやかに曲がる轍や芹に雨

 一枚の鰺を吊りたる鼬罠

 束子からまづ溶けてゐる春の雪

 蝌蚪の水翅のやうなる葉を沈め

 るるるると花の岸辺を鳴きかはす

 岸に積む岩に咲きゐて灸花

 ぷうぷうと猫のいびきや藪柑子

 着水の水鳥おのが影を抱く


○発行所

 ふらんす堂

 〒182-0002
 東京都調布市仙川町1-15-38-2F

 電話 03-3326-9061

 (定価 2,750円(税込))

◆句集『ひかりあふうを』: 金山桜子(かなやま・さくらこ)◆

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