関西現代俳句協会

会員の著作(2022年事務局受贈分)

  句集

『とり乱す』

髙木晶子

東京四季出版 2022年4月15日発行



  新米に梅干一つ進化せず

俳句人生を長く歩んでこられた晶子さん。これからの余生、否、与生をどう生きていこうか考えられている筈。新米には梅干しが一番合うように凡は凡なりに生涯を通す、進化なんて考えることは止めよう、と一つの答えを出された一句ではないか。

鈴鹿呂仁・・・・・「序」より


 春立つと共に、急に第二句集を出したいと思い立ちました。何か不思議なエネルギーが湧いてきた感じです。なにかの節目という訳でもなく、かえってその方が自分に似合っているかもしれません。
 近頃、親しかった同年代、先輩方がつぎつぎと亡くなられ、それも大きな要因になりました。そろそろ自分のけじめをつける時かと。
 元来不器用な割に、俳句という形式が私は好きです。私の人生の大方を俳句と共にしました。そんな中で、俳句の友は、いつも近くにいて力になって下さいます。
 野風呂記念館の図書の仕事は、難しいながら私を勇気付ける活力となっています。この仕事をさせて頂いている事で私の生きてきた意味が有るのか、とも思います。創立百年を越える「京鹿子」の歴史を少しでも記録に残してゆきたいと念願しております。

髙木晶子・・・・・「あとがき」より


○帯「自選十二句」より

 昨日との間のやうな麻のれん

 テーブルと椅子の間隔春立ちぬ

 射干を活け侮れぬ奥座敷

 盆終る畳の上を水の音

 疑へば渋柿となる裏鬼門

 お見舞に兜太のやうな柘榴来る

 爪楊枝一本を抜く二月かな

 うす紙をはがし尽くせば吾亦紅

 新米に梅干一つ進化せず

 線引きのまだこちら側よもぎ餅

 新生姜月水金と予定あり

 苺パフェ似合はぬ席にしばし居る


○発行所

 東京四季出版

 〒189-0013
 東京都東村山市栄町2-22-28

 電話 042-399-2180

 (定価 2,700円+税)

◆句集『とり乱す』: 髙木晶子(たかぎ・あきこ)◆

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