関西現代俳句協会

会員の著作(2020年事務局受贈分)

  句集

『真帆の明日へ』

鈴鹿呂仁

東京四季出版 2020年11月23日発行



  百年の風を受け立つ「現在地」

この後も、他を憚ることなく、ともすれば窮屈な「現在地」に圧倒されることなく、「京鹿子」の四代目主宰として、また一俳人として、のびやかにして真撃に前進されることを切望しています。

宇多喜代子・・・・・「序」より


 今から六年前、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの東京招致が決まり日本国民は歓喜の渦の中に浸っていた。当時の豊田都峰主宰は、その時の京鹿子祭に二〇二〇年京鹿子が創刊百周年を迎えることに言及し、皆さんと共に喜びを分かち合うことを力強く話されていたのを思い出す。
 二〇二〇年、本来であれば希望に満ち溢れた輝かしい年になる筈であったが、全世界を震撼させたコロナ禍によりこの年の京鹿子百周年の慶事を断念せざるを得ない旨を断腸の思いで皆さんに伝えなければならなかった。百周年は来年に持ち越しになったものの、五年前都峰主宰の急逝を受け主宰を引き継ぐことになり、この特別な年、二〇二〇年に句集を発刊することは私の願い、望みでもあった。
 百年という重みを肌に感じながらも新たな一歩を踏み出して行く強い思いと共に、海原へ帆を張りだす船の姿と重ねて「真帆の明日へ」という句集名にさせていただいた。

鈴鹿呂仁・・・・・「あとがき」より


○帯「自選十二句」より

 寒椿二度目の恋は真白なる

 柏手の利き手をずらす立春大吉

 はくれんや一夜思ひの丈綴る

 みどり児の空の高さや初ざくら

 羽抜鳥主文は聞かぬふりをする

 火蛾群るる不承不承の連座制

 鬼の子の不届きな沙汰陣屋裏

 軸足は大寒のわが現在地

 二礼とな社家の軒端の初がらす

 ゆきやなぎ百の尻尾の太郎冠者

 下闇の抜け穴ひとつ大坂へ

 二歩を打つ投了のなき日向ぼこ


○発行所

 東京四季出版

 〒189-0013
 東京都東村山市栄町2-22-28

 電話 042-399-2180

 (定価 2,800円+税)

◆句集『真帆の明日へ』: 鈴鹿呂仁(すずか・ろじん)◆

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