関西現代俳句協会

会員の著作(2020年事務局受贈分)

  句集

『天界の星』

小西月舟

文學の森 2020年7月26日発行



 凍滝や天界の星またたかず

作者の美的感動から産み落とされた吐息のような実感がある。

豊長みのる・・・・・「序」より

 

 小西月舟さんは「風樹同人会副会長」であり、「風樹」に無くてはならない男性の一人である。
 月舟さんは京都大学卒、有名企業の要職を勤められた人であるが、そのことは暖にも出されず、男性としては稀なこまごまとした気遣いの出来る方で、年齢を感じさせない身のこなし方につい皆が甘えてしまう。
 彼のこの優しさは本来生まれ持たれたものでもあろうが、最愛の奥様の看取り、別離からも大きな影響があったのではと私は感じている。

平田繭子・・・・・「跋」より

 

 月日の経つのは早いものである。
「風樹」俳句会・豊長みのる主宰との出会いから、本格的に俳句を学び始めて十二年目になる。
 当時、妻を亡くして一年余失意の底にあったが、主宰の文学・芸術としての俳句への真撃な取組みに感銘を受け、即入会した。
 俳句という新たな生き甲斐を見出し、毎月の句会や吟行、句友との交流を通じて、再び元気を取戻すことができた。
 俳句のお蔭で動植物の名前や生態を知ることができ、季節の移ろいを身近に感じられるようになった。
 主宰に教えて頂いた「生きる証」の俳句づくりが私の生活信条になっている。

小西月舟・・・・・「あとがき」より

 

○帯「自選十句」より

 弥撒の鐘一会のさくら散ってをり

 沙羅散華弥陀来迎のひかり降る

 放生の水の天国蓮ひらく

 桐一葉枯山水の海にかな

 黄泉の地も夜は星降るや鉦叩

 漁り火の沖へかたぶく銀河かな

 旅は北へ蒼天ふかく鳥渡る

 走り根は大地を摑み神の留守

 神鶏の長鴫く宮居淑気満つ

 凍滝や天界の星またたかず

 

○発行所

 文學の森

 〒169-0075
 東京都新宿区高田馬場2-1-2 田島ビル8階
 電話 03-5292-9188

 (定価 2,700円+税)

◆句集『天界の星』:小西月舟(こにし・げっしゅう)◆

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