会員の著作(2020年事務局受贈分) 句集 『紅の挽歌』 中村猛虎 俳句アトラス 2020年5月9日発行 風羅堂十二世にして 現代俳句の俊英 待望の第一句集
順々に草起きて蛇運びゆく草々は知っているのだ 栞文より
猛虎氏に俳句を奨めたのは私である。二十代の頃、勤務していた会社の同年代の人たちを誘い、句会を始めた。私だけが経験者だったので、当然、自分がリーダーになるつもりでいたが、彼はほぼすべての句会で最高点という活躍を見せた。大胆さと繊細さが入り交じる、詩情ありユーモアありの多彩な作品で、俳句的手垢が全くないのに、不思議と深みのある詩情を持っていた。 林誠司・・・・・「跋~添付の才」より
姫路には、松尾芭蕉が「おくのほそ道」道中で使ったとされる蓑と笠が残されている。納められていた風羅堂は明治期に焼却処分され、芭蕉翁を第一世とする堂号は長らく途絶えていたが、縁あって二〇一一年秋、六十九年振りに風羅堂十二世として名跡を私が継がせていただくこととなった。 中村猛虎・・・・・「あとがき」より ○帯「自選12句」より 葬りし人の布団を今日も敷く 遺骨より白き骨壺冬の星 少年の何処を切っても草いきれ この空の蒼さはどうだ原爆忌 手鏡を通り抜けたる螢の火 蛇衣を脱ぐ戦争へ行ってくる たましいを集めて春の深海魚 三月十一日に繋がっている黒電話 缶蹴りの鬼のままにて卒業す 水撒けば人の形の終戦日 心臓の少し壊死して葛湯吹く ポケットに妻の骨あり春の虹
○発行所 株式会社 俳句アトラス 〒167-0042
(本体 2,273円+税) ◆句集『紅の挽歌』: 中村猛虎(なかむら・たけとら)◆ |
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