関西現代俳句協会

会員の著作(2016年事務局受贈分)

  句集

『プレイ・オブ・カラー』

森澤 程

ふらんす堂 2016年10月22日発行



  夢はじめ翡翠が魚を呑むほとり

森澤程さんの俳句は、型に嵌まっていず、類型に没していないとかねてから考えてきた。
句集『プレイ・オブ・カラー』は、個性のある作家としての独自な方法を確立した著者の記念碑といえよう。

花谷 清・・・・・「跋」より

 

『プレイ・オブ・カラー』は、『インディゴ・ブルー』につづく第二句集です。
二〇〇六年から二〇一ハ年までの作品より、三五八句を選んで収めました。

俳句を始めて二十年が経ちますが、三つの俳誌の終刊を経験しました。
このささやかな経験と句作の途上にあって、対自分への曰く言い難い距離感、対自分との隙間のようなものに気がつきました。
私の場合、この距離感と隙聞を大切にすることにおいて、俳句との関わりが続いているようです。
俳句という器は、さわったり見たりすることのできないものですが、不思議な質量を蔵しているものにも思えます。

森澤 程・・・・・「あとがき」より


○帯「自選十五句」より

 花栗や星より静かなものに坂

 給水塔てっぺんの鳥ゼリー冷ゆ

 遠野にはおんどりの立つ扇風機

 かなぶんの青と藍との境界線

 枯芙蓉眠るジュゴンを水槽に

 国ありて湯舟の外に置く片手

 母のように川をかくしている桜

 絵巻解きいつしか青野あるきゆく

 夢はじめ翡翠が魚を呑むほとり

 水澄むと老婆に渡すタンバリン

 霜降りて部屋の隅々まで占める

 漆黒の水掻き夢に混む白鳥

 耳成と畝傍の間に薔薇を挿す

 雪の夜の米粉のシフォンケーキかな

 すみれ濃しすみれ淡しと百人ゆく


○発行所

 ふらんす堂

 〒182-0002
 東京都調布市仙川町1-15-38-2F

 電話 03-3326-9061

 (定価 2,667円+税)

◆句集『プレイ・オブ・カラー』: 森澤程(もりさわ・てい)◆

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