関西現代俳句協会

会員の著作(2014年事務局受贈分)

  句集

『箪笥』

若森京子

文學の森 2014年5月18日発行



「紬の京子」と俳句仲間から言われている。
着物好き、そして箪笥好き。
畳のさっぱりした箪笥の部屋に坐って、
この人の感性は更に豊潤。

金子兜太・・・・・「帯文」より


「海程」に入会して間もなく、吉野大会で私の拙句<タ月も箪笥も葛の葉にのりて>が兜太選に入り最高点になり、今は亡き橋閒石先生から思わぬ賛辞のハガキを頂き大変感激した若き日の忘れられない想い出です。
 母が桐箪笥を丸洗いした時、これはお嫁に持って来て以来、玄海灘を往復し、又大水害に遭っても寸分の漏れもなかったと、八十九歳で亡くなる迄大切にしておりました。私には母と共に箪笥には特別の思い入れがあります。

若森京子・・・・・「あとがき」より


○帯より10句

 雛流し耳殻にはるかなる怒濤

 透明ないのちの分母かたつむり

 一汁一菜みのむしの愛吹かれて

 ふくしまや虹を観念的に画く

 授乳の汀しずかに被爆の波寄せる

 耳鳴りや吉野に巣作りの気配

 浮島現象アンニュイな日向ぼこ

 霾や阿弥陀のてのひらは荒野

 七十路絽にも紗にも添い遂げよう

 寒鯉や箪笥の底に澱むもの


○発行所

 文學の森

 〒169-0075
 東京都新宿区高田馬場2-1-2 田島ビル8階

 電話 03-5292-9188

 (定価 2,500円+税)

◆句集『箪笥』: 若森京子(わかもり・きょうこ)◆

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