会員の著作(2014年事務局受贈分) 句集 『やまうど』 忍 正志 私家本 2014年5月1日発行 忍さんは第一句集『 わが影を踏む短目の橋近く 時の日に心奥の鍵盗まれり 鍵の穴から夕立雲を捜ね見る 冬日とは誰にも言わぬ誕生日 彼岸花往時の鬼の隠れ里 錦秋の天を欺く鬼瓦 青蛙夜来叫びて目が覚めて 焼け跡に逃げて逃げたよ青トマト 高速道沈む秋陽に向かって走れ いずれの句もやり場のない感情に満ちている。冷たい土を踏む影に、自分の生命と存在とを見つめている夕暮れ。閉ざした心を救う唯一の手掛かりを奪われてしまった時間の経過。重く拡がる積乱雲を見上げるように、暗い何かを求めてしまう自分への嫌悪感。日常の折々に出現する悲しみがノスタルジックな写真のように描かれている。 田中信克・・・・・「序にかえて ―ひとりの思いが掴んでゆくもの―」より 二〇〇七年から描き溜めてあった俳句を、ここに活字にしておこうと思い、生涯で最後かも知れないと思いつつ、ごく内輪だけに配布のつもりで句集を作った。(中略)句集名を「やまとに独り活きる」(「うどの大木柱にならず」と言う)と言う意味を込めて「やまうど」とした。 忍 正志・・・・・「あとがき」より ○発行者 忍 正志 ○制作 印刷 喜怒哀楽書房 (限定非売品) ◆句集『やまうど』: 忍 正志(しのぶ・まさし)◆ |
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