関西現代俳句協会

会員の著作(2014年事務局受贈分)

  句集

『銀河鉄道』

かつら澪

東京四季出版 2014年5月30日発行



  秋夜いま銀河鉄道星へ発つ

『銀河鉄道』を繙く人々よ。人間の深い心の中で働き、情操や知性を司るエネルギー。私たちは、この句集を通して、詩の芸術を感じ合いたいものである。

豊長みのる・・・・・「帯文」より


 ここに、澪さんの人柄が窺える作品をアトランダムに抽いてみたい。

  百歳の母の小さし雛の春

  一歩一歩母は歩みぬ桃の昼

  たなごころ重ねて母よ雛の春

  藤房の香りて源氏繙きぬ

  二人の夜大根ふくふく煮えあがり

平田繭子・・・・・「跋」より


 主宰のお話が「俳句は鉛筆一本と紙があればできる(庶民性)と――」とのお言葉から「生きる証」に至る内容を易しく語られました。思いがけない衝撃を久しぶりに受け、興奮の余りすっかり心酔しました。当時芝生の高原で白いゴルフボールを追っていた日々の私と全く異なった世界があることに気付きました。

かつら澪・・・・・「あとがき」より


○帯「豊長みのる十二句選」より

 緑蔭や湖底にひそむ水の音

 青葉風雲中菩薩舞ふごとし

 片恋の涙に醒めて春の夢

 望郷や砂に隠るる桜貝

 遅桜みちのくにいまひかり降り

 天の川ささめきあへる水のこゑ

 神の湖を人ども渡る氷橋

 山神の吐く息か山吹雪くなり

 風雪崩一山に月しろく差し

 はんざきの身じろぎもなし水の底

 光年を隔つ星々枯のこゑ

 雪涅槃六道醒むるばかりかな


○発行所

 東京四季出版

 〒189-0013
 東京都東村山市栄町2-22-28

 電話 042-399-2180

 (定価 2,700円+税)

◆句集『銀河鉄道』: かつら澪(かつら・みを)◆

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