関西現代俳句協会

会員の著作(2014年事務局受贈分)

  句集

『香芝春秋』

中谷 清

東京四季出版 2014年3月28日発行



  初夢のペガソス翔ける天の果て

これこそ、人生の辛酸から咲き出でた見事な詩の華と言うべきであろう。詩人、中谷清氏の住まう故郷の風景が見事に映し出された句集『香芝春秋』である。

豊長みのる・・・・・「序」より


 中谷清氏は真面目で愉しい人である。
 そう、彼は人として大切な二面性を持っている方である。真面目だけでは余裕がない。愉しいだけでは人としての深みに缺けるのは言うまでもない。
 清氏のユーモアのある話しぶり、肩を張らない瓢々とした態度に誰しも親しみを覚え、彼の回りに自然と人が集まる。事実、去年彼は「風樹」入会十年にして第二十七回風響賞(「風樹」同人賞としての最高の賞)に耀かれたのである。同人会副会長として名誉ある賞である。

平田繭子・・・・・「跋」より


 この度、私如きまだ駆け出しの者に主宰、編集長より、句集上梓のお勧めあり、大いに迷ったが、「勧められているうちが花よ」との母の言葉を思い出し、承諾した。今は両先生に感謝している。そしてこの句集上梓を機にもう一度主宰の理念である「一期一会」を大切にし、「生きる証し」としての俳句に挑戦したいと思っている。

中谷 清・・・・・「あとがき」より


○帯「豊長みのる選」より

 達観の相か末枯れて蓮立てる

 夕波のさわぎて雁の渡りかな

 退院や道に出揃ふつくしんぼ

 まぼろしの浜辺とや薔薇香りをり

 瀬分れの水の迅さや秋のこゑ

 行く秋や水分り橋に影ひとり

 かぎろふや善と悪との二面石

 鶯の去りて雨音ばかりかな

 雲の峰下り松とや立ち上がり

 生かされて生きる齢ぞ返り花

 梅雨満月青葉の笛の澄む夜かな

 初夢のペガソス翔ける天の果て


○発行所

 東京四季出版

 〒189-0013
 東京都東村山市栄町2-22-28

 電話 042-399-2180

 (定価 2,700円+税)

◆句集『香芝春秋』: 中谷 清(なかたに・きよし)◆

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