会員の著作 句集 『星餐』 山本左門 ふらんす堂 2012年12月24日発行 言うまでもなく、俳句は定型詩である。 定型という形式が、表現内容を制約し、決定づけるともいえるような俳句に、なぜ私は惹かれたのか――。 それは正しく、俳句が定型詩だからである。 俳句が持つ定型という構造自体が、表現としてのリアリィティ獲得のための必然的関係性を内包していると考えたからだ。 恰もカメラの画像フレームのように、定型という枠は日常生活や風景の連続性を裁断する機能を持っている。 そこに、俳句が現象の説明や報告的なものを超えた、すなわち詩として 成立し得る鍵があるのではないか、と想ったのである。 山本左門・・・・・「後記」より ○帯「自選十五句」より 早春の岬や斧を置くごとし 地球儀のシベリア青し二月かな 原子炉に蝶の白さを見失ふ 三鬼忌や背後にエレベーター開く 満開の桜の中の弾薬庫 夕焼けは色鉛筆の匂ひせり 螢の夜濡れて熱もつオートバイ 船中に真水のタンク雲の峰 硝子器の映り合ふなり夜の秋 台風接近天文台とメロンパン 卓上にありし葡萄の日暮れかな 校庭に残る白線秋の風 三島忌やパンのレーズンばかり食ふ 地を擦りて戻る巻尺冬の暮 チェルノブイリの雪女から来た手紙 ○発行所 ふらんす堂 〒182-0002 電話 03-3326-9061 (定価 2,286円+税) ◆句集『星餐』: 山本左門(やまもと・さもん)◆ |
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