会員の著作(2012年事務局受贈分) 句集 「紫の詩暦」 藤岡 紫水 私家本 2012年8月1日刊
ポインセチアゆつくり狂ふ人と刻作者は、ポインセチアのみどりの葉が、時間の経過と共に少しづつ赤く変わることを狂うとみた訳である。一方、現代人が今の社会の不自由さ、格差、圧迫感などのため、正常心をじわじわ失いつつあることを人が狂うとみた。狂うという二つの意味を重ね合わせている。巧まずして現代の批評になっている。このような二重構造性が氏の俳句の作り方なのである。 沼田 巴字・・・・・「紫水氏の俳句について」より 私は今年八月で満九十歳(卒寿)を迎える。そこで今回は二十五年のカルチャー教室の集大成として、あるいは上記アラカルト項目に記した一切合切も含めて、卒寿の記念句集として出版する運びとなった。多分、これが最初にして最後のまとまった紫水俳句の集大成になると思う。このささやかな句集が、ご縁を頂いた方々の何かの参考になれば幸いである。 藤岡 紫水・・・・・「おわりに」より ○「自選二十句抄」より 一滴の一音に生れ冷えわたる 松の風松のみ知りて宵涼し てのひらの中のさざなみ秋の水 椿落つ己が恃みの朱に疲れ はらからよ父母よ日向の打たれ蛇 ちりぬらん今を慎しみ寒椿 ポインセチアゆつくり狂ふ人と刻 穴まどひ四捨は未練ののこる数 荒塩は父情にも似て衣被 はるかなる刻よ恩讐凍てて候 業腹なこの世がいとし春星忌 大昼寝して宥す気になつてゐし 山一つごろり転がる夏座敷 なかんづく一念一花寒椿 松手入れ日暮れの音となつてをり 冬紅葉山の容で来る日暮れ 冬帝の影のばしくる日本海 白紙一枚神を鎮めて鏡餅 トルソーに祈る手の欲し原爆忌 男には男の日暮れありて冬 ○発行所 私家本 〒606-0833 電話 075-781-2072 (非売品) ◆句集「紫の詩暦」(むらさきのうたごよみ): 藤岡 紫水(ふじおか しすい)◆ |
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