関西現代俳句協会

会員の著作(2012年事務局受贈分)

  句集

「山恋」

いわた たけし

文学の森 2012年4月11日刊

 

  山恋の山に鷹の巣まだあるか

「幻」の代表同人であり、私の良き相談相手でもあるいわたたけしさんの第一句集が、喜寿を機に上梓されることになった。
句集は作者を曝け出すというが、歴史研究者の見識に裏打ちされた、正義感溢れる朴訥な山男の生き様がよく表れた句集に仕上がっている。
高校の歴史教師を退職した後も、歴史研究・歴史教育研究者として活躍される一方、世界の山にも挑戦。エベレストのトレッキングを皮切りに、南米パタゴニア、ギアナ高地、スイスアルプス、ボルネオ島のキナバル山他、一昨年にはカナディアンロッキーまで登られた行動力には感服させられた。

西谷 剛周・・・・・「序」より

私の「幻」同人としての生活も、早四半世紀になろうとしている。その間「幻」は、憲章に「冒険をおそれず個性を活かし斬新な詩情の探究と表現を目指す」と謳っているが、主宰・剛周先生のお人柄と、進取に富んだ開放的な同人・会員たちの個性の集まりとが相俟って、例会などでは相互に打ち解けた、しかし遠慮無用の真摯な遣り取りが行き交う社風を作り出してきた。出来の悪い私もその中で鍛えられてきた。

いわた たけし・・・・・「あとがき」より

○帯「自選十句」より

 山恋の山に鷹の巣まだあるか

 冬帽を買わば何かが変わるべし

 風光る人もバッグも無印で

 屋根をゆく一つは爺のシャボン玉

 漱石の財布が笑う四月馬鹿

 ふるさとによそ者でいる薄暑かな

 朴の葉の影まだらなり飢渇(けかち)の碑

 夏の葬ずっと一目置いていた

 核空母港に残暑居座るか

 まぼろしの戦果聞いてる南瓜かな

○発行所

 文学の森

 〒169-0075
 東京都新宿区高田馬場2-1-2
 田島ビル8階

 電話03-5292-9188

 (定価2667円、税別)

◆句集「山恋」(やまこい): いわた たけし◆