関西現代俳句協会

会員の著作(2012年事務局受贈分)

  句集

「良夜吟」

中村みづ穗

本阿弥書店 2011年12月15日刊

 

作風はどちらかといえば、求心的で観念的な姿勢が顕著であったが、次第に自我の形成にめざめてゆかれたのは偉としたい。大らかな人格のなかに縹渺とした含蓄が見受けられるようになったのは流石である。
この『良夜吟』には“生の根源”に触れる作品が多い。

豊長みのる・・・・・「序」より

○帯「本書より」十句

 門前に注連の籾散る初雀

 大阿蘇の寝釈迦裾延べ春の雪

 夕東風や海鵜つどへる離れ礁

 説法のあとのしづけさ若葉風

 夏つばめ岬へつづく磯馴松

 鰯雲砂丘馬の背つづきをり

 かなかなや杓の水沁む句碑の肩

 湧水にをどる白砂秋気澄む

 断崖を波の花散る黄水仙

 夕明に泛きゐる水皺浮寝鳥

○発行所

 本阿弥書店

 〒101−0064
 東京都千代田区猿楽町2−1−8 三恵ビル

 電話 03−3294−7068

 (定価2800円、税別)

◆句集「良夜吟」(りょうやぎん):中村みづ穗(なかむら みづほ)◆