関西現代俳句協会

会員の著作(2011年事務局受贈分)

   句集

「清水湧く」

古梅 敏彦

南海俳句会 2011年5月3日刊

 

敏彦氏は親孝行である。敏彦氏は孤独に耐える人である。敏彦氏は活動家である。敏彦氏は愛妻家である。敏彦氏は勉強家である。敏彦氏は行動範囲の広い人である。敏彦氏は山を愛する人である。
作品全般に人物像がよく見え分かりやすく、読みはじめると知らぬ間に作品の中へ引き込まれて行く。人生七十年を集約された当句集『清水湧く』が多くの方々に愛読される事を念じて止みません。

桑島 啓司・・・・・「序にかえて」より

○「序にかえて」より十二句

 海峡に果てし父なり敗戦忌

 窓越しの秋の落日母奪ふ

 前照灯消すや荒星顕はるる

 終列車始発に仕立て去年今年

 春風に反合理化の旗を足す

 何刻む妻のハミング今朝の秋

 読み飽きて猫に餌をやる夜長かな

 梧桐や撫順陋巷隠れなし

 枇杷青し鐘鳴り止まぬ寒山寺

 ななかまど浅間は煙噴き止まず

 春の雪また葛城山を眠らする

 山焼いて阿蘇の山肌牛を待つ

○発行所

 南海俳句会

 〒641-0013
 和歌山市内原987-3 古梅敏彦方

 電話 073-445-6218

 (定価1700円、税別)

◆句集「清水湧く」(しみずわく):古梅 敏彦(こばい としひこ)◆