関西現代俳句協会

会員の著作(2011年事務局受贈分)

   句集

「森は聖堂」

花谷 清

角川書店 2011年5月10日刊

 

 

清さんの俳句の世界は、視野が広く、眼前の対象にも無限大や無限小が含まれる。そして無限小となるに従って人間としての声が鮮やかに聞こえてくる。それは、当然、科学者である前に人間であるからであり、人間としてすべてのものを懐かしく感じているからであろう。

和田 悟朗・・・・・「帯文」より

○帯「自選十二句」

 閉じる眼の向うが遙か白梟

 直前に最も乱れ独楽止まる

 管は笛面は打楽器謝肉祭

 滴りの光や誰のものでもなく

 曲りたる時間の外へ蝸牛

 噴水に遇えば地球を想うべし

 縞馬の影に縞なき広島忌

 真夏日の森は聖堂鳥睡り

 台風に目ありピエロに泪あり

 虫籠に入り学名で呼ばれたる

 木の実降るわが言語野のけもの径

 空席に空の存在四月来る

○発行所

 角川書店

 〒102−8078
 東京都千代田区富士見2−13−3

 電話03−3817−8536

 (定価2667円、税別)

◆ 句集 「森は聖堂」 : 花谷 清 (はなたに きよし) ◆