関西現代俳句協会

会員の著作(2012年事務局受贈分)

  俳文画集

「紅蜀葵」

杏中 清園

私家本 2011年5月吉日刊

 

  妻の座にどかりと座り新生姜

杏中さんと知り合ったのは最近だが、この人、活発である。この本が俳句と俳文と油絵でできていることからもその活発さが分かるだろう。杏中さんの1句を挙げるとしたら「妻の座にどかりと座り新生姜」杏中さんの活発さは、この新生姜の香りと歯ごたえに似ている。                 

坪内 稔典・・・・・「帯文」より

小学校時代は船場に育ち裕福だったが、その後段々と苦労の時代が続いた。それを乗り越えて来られたのは、油絵を描く事と俳句を作る事が、生き甲斐となっていたのかも知れない。
主人や義母の理解もあり、多くの良き師や友人に恵まれた幸せな主婦四十年余りの生涯学習の歴史として友人や家族に伝え残すものとしたい。

杏中 清園・・・・・「あとがき」より

○本文より十句(括弧内は俳文の題)

 しんしんと枝垂桜の揺れの中(「さくら」)

 カシニョールの女を気取り春の海

 雷鳴の五臓に響くブリュッセル(「花のオランダとベルギーの旅」)

 おでん煮る奥の細道読みながら(「手作りの料理」)

 しゃぼん玉ゆがみの中の神戸港

 夕焼けやさざめきあいて船料理(「天神祭船渡御」)

 月下美人夜のベールをひとり占め(「月下美人」)

 秋深し胎児の鼓動透いて見え

 冬ざれや胸板厚き多聞天

 半纏の文字鮮やかに日守りかな(「春日大社若宮御祭」)

○発行所

 私家本

 発行者 杏中清園

 〒544-0034
 大阪市生野区桃谷2-14-22

 電話 06-6712-5912

 (非売品)

◆俳文画集「紅蜀葵」(こうしょっき):杏中 清園(あんなか せいえん)◆