関西現代俳句協会

会員の著作(2010年事務局受贈分)

      句集

「譚詩曲 バラード」

赤尾 恵以

文学の森 2010年10月28日刊

 

ひとりの人間との出会いがその後の人生を左右することがある。それを運命≠ニいう一語でかたづけていいものか……。若く美しいピアニスト恵以は、俳人赤尾兜子との出会いによって人生が大きく変わる。八一年、兜子急逝により、結社「渦」を継ぐことになった恵以は音楽の仕事を捨て、俳句一筋の道を歩むことになる。その作品はロマンチックで物語性に満ちている。まさに譚詩の世界である。
     月に乾杯地球傾きつつ廻る
空に耀く月は兜子、少し傾(かし)いで自転する地球は恵以の投影図なのだ。

美h東・・・・・「帯文」より

○帯「自選十句」より

 初宇宙交響曲の鳴りわたる

 一月のネオンの蒼き阪神忌

 意志一つ冬天に鳥はばたきぬ

 しんがりに香の馥郁と梅日和

 雛飾りいくたび過す誕生日

 みどり立つ象の時間に同化して

 夏みかん上手に剥きて年をとる

 ブルースは港に流れ星涼し

 月に乾杯地球傾きつつ廻る

 断崖に白波砕けゐる薄暑

○発行所

 文学の森

 〒169−0075
 東京都新宿区高田馬場2−1−2
 田島ビル8階

 電話03−5292−9188

 (定価2095円、税別)

◆句集 「譚詩曲 バラード」 (ばらーど) : 赤尾 恵以 (あかお えい)◆