関西現代俳句協会

■2023年4月 青年部 招待作品

つめたき耳/田邉大学








 つめたき耳

 田邉大学




眉硬くして畦焼を終はりけり


灰色に膨らむガムや鳥の恋


弐心あればかたかご咲き始む


水温むおほきな服は光りつつ


蝶々をつめたき耳と思ふなり


背伸びして屈んで乙女椿かな


春の雲かつて軍鳩ゐしことも


鈴懸の花やだんだん癖つ毛に


ほんたうに緑の池や甘茶寺


大朝寝して海鳥を見に行かむ



◇「つめたき耳」:田邉大学(たなべ・だいがく)
2000年生まれ 大阪府在住
所属団体:「秋草」

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