関西現代俳句協会

■2023年2月 青年部 招待作品

月の雨/早川 徹








 月の雨

 早川 徹




火が生みし巌越えゆく黒揚羽


蟬しぐれとは海底の音めける


八月や海と目線を同じうす


黄槿の時期もう少しあと少し


車窓より秋の初風迎へたり


子の爪を切るとき無口月の雨


外来種だらけの池に鴨来たる


初鴨の中に無頼の鴨もゐて


鳥の羽根散りてをりたる秋の暮


鼻唄は出鱈目二十三夜かな



◇「月の雨」:早川 徹(はやかわ・とおる)
1989年生まれ 三重県在住
所属団体:「運河」「里」

▲関西現代俳句協会青年部過去掲載ページへ

▲関西現代俳句協会青年部トップページへ