関西現代俳句協会

■2021年10月 青年部 招待作品

折りなほす/大橋弘典 








 折りなほす

 大橋 弘典




立秋の服にかさねる指のはら


剝き出しに玉蜀黍のくさき芯


骨髄を濁らせて食ふ葡萄かな


野分来る釣銭ひとつひとつ取る


白帝は身を揺らしたる高野槇


秋の日を龍の鱗の照りかへす


月光や駅に男がよく転ぶ


アパートになにかの鞭や海桐の実


十月の皺の紙片を折りなほす


露けさのまあるき鈴を聴いて来よ


◇「折りなほす」:大橋弘典(おおはし・ひろのり)
2002年生まれ 北海道在住
所属団体:鬣

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