関西現代俳句協会

■2021年9月 青年部 招待作品

あからひく/松尾唯花 








 あからひく

 松尾 唯花




罪または過ちありて春満月


あからひく春日に透ける除光液


花かがり眼鏡を外してもいいよ


観覧車抱えてねむる蜃気楼


桜桃や門限という甘い檻


嘘と嘘まじわるときの青嵐


天の川知れば知るほど遠くなる


蔦紅葉わたしを逃がしたのはなぜ


捨てられる過去などないと言う鯨


雪というカーテンコール光りけり


◇「あからひく」:松尾唯花(まつお・ゆか)
1991年生まれ 大阪府在住
所属団体:ポトナム短歌会

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