関西現代俳句協会

■2020年12月 青年部 招待作品

吃水線/木村リュウジ








 吃水線

 木村リュウジ




実南天鏡を運ぶように朝


冬蜂や眼と眼を合わせない握手


おとうとの一人称が変わり雪


寝言かもしれず初蝶かもしれず


白つつじ愛想笑いを午後という


頬杖は時のほつれ目シクラメン


山法師きのうおととい映し出す


夏の月耳鳴りという吃水線


台風が近づく赤いヘアゴムに


レモン切る子午線を切るように


◇「吃水線」:木村リュウジ(きむら・りゅうじ)
1994年生まれ 埼玉県在住
所属団体:「海原」

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