関西現代俳句協会

■2020年10月 青年部 招待作品

ここから/日比谷虚俊








 ここから

 日比谷虚俊




藤の花喃語がなんとなくわかる


清明の雨に濡れゐる鯉幟


体育館裏の吸殻桜の実


薔薇咲いて一切雲のなき日比谷


夏川や小学校の傍に寺


敗戦忌濡れてタオルのやはらかく


抽斗のクレヨンと朝顔の種


曼殊沙華ここから学校だと思ふ


近道をしてオリオンのあらはるる


冬青空かはうそ濡れてゐて眠る


◇「ここから」:日比谷虚俊(ひびや・きょしゅん)
2000年生まれ 東京都在住
所属団体:「いぶき」

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