関西現代俳句協会

■2019年6月 青年部 招待作品

還りゆく/姫草尚巳








 還りゆく

 姫草 尚巳




春眠を起き春眠に還りゆく


藤棚や鯉が水面を巻いてゐる


雲梯や陰の桜と陽の桜


シャッターに水鉄砲が粒になる


レース着てところどころに肌かな


然るべきにして傘閉づる墓参り


秋の日のアーモンド歯にきしみけり


梨食ひしあとの梨汁すすりけり


元日を蕊の光れる仏花かな


ゴーギャンの娘らや着物の初詣


◇「還りゆく」:姫草尚巳(ひめくさ・なおみ)
1998年生まれ 石川県在住
所属団体:金沢大学俳句会、「凪」

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