■2019年2月 青年部 招待作品
楚蟹/淺津大雅
楚蟹
淺津 大雅
初夢の白き手首の丘があり
寒風のかたまり容れて夜のバス
人日の諍ひあらぬ猿が島
楚蟹剥くたびに耗る指紋かな
箸先の蒸牡蠣ぶるりつるりかな
鳥むれてトロリととびぬ枯芒
てふてふの浮腫目眩と運び来ぬ
春の日の煉瓦にふたり凭れざり
博愛は哀しからずや菫草
トンネルの筒の空間風光る
◇「楚蟹」:淺津大雅(あさづ・たいが)
1996年生まれ 京都府在住
所属団体:関西俳句会「ふらここ」、「奎」
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