関西現代俳句協会

■2018年11月 青年部 招待作品

くさび形・抄/中西亮太








 くさび形・抄

 中西 亮太




新宿に持て余したる薄暑かな


手遊びのさだまらぬまま半夏生


鯰絵の知恵ありさうな鯰かな


銅像の一点まぶし夏の果


葉脈の白さ八月十五日


残暑なりくさび形なる膵臓の


右向けば左気になる秋の夜


穴惑ひ上野は遠くなりにけり


石蹴つて石に近づく鰯雲


古本に薄き書き込み胡桃割る


◇「くさび形・抄」:中西亮太 (なかにし・りょうた)
1992年生まれ 東京都在住
所属団体:「艀」を経て現在無所属

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