関西現代俳句協会

■2018年2月 青年部 招待作品

黒む/瀬越悠矢








 黒む

 瀬越 悠矢




楽章の合間あちこち咳けり


葡萄酒の空瓶舐る冬の蠅


軒樋に洩れぬばかりの木の葉かな


数へ日や闇に応ふる骨の音


大年の靴底黒むバレリーナ


物乞ひのじつとしてゐる二日かな


人あまりをらぬ列車や冬帽子


下草の丈に冷たき消火栓


いざ立つといふときまでの枯野かな


寒晴や塞ぐことなき玻璃の罅


◇「黒む」:瀬越悠矢 (せごし・ゆうや)
1988年生まれ パリ在住
所属団体:なし

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