関西現代俳句協会

■2017年7月 青年部 招待作品

無言でゐる/青本瑞季








 無言でゐる

 青本 瑞季




足の重さは如雨露ほど虹を見にゆく


まどろみを歩くどこにも草いきれ


ふかぶかと白靴を晴野が匂ふ


玉虫が炎症の手にこはさるる


蛇の頭のしなびて流れよりあがる


微熱なる暗さに咲きて夾竹桃


空蟬の古椅子ほどの曇りやう


わたくしが丸太のやうな黴の館


眠りすぐ来る青蔦の部屋のこと


白薔薇に紙の音して無言でゐる


◇「無言でゐる」:青本瑞季(あおもと・みずき)
1996年生まれ 東京都在住
所属団体:「里」「群青」

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