関西現代俳句協会

■2017年5月 青年部 招待作品

隣の部屋/高瀬みつる








 隣の部屋

 高瀬みつる




水面に遅れて揺るる浅蜊の舌


春光を受く廃校のすべり台


初夏や楽譜を仕舞ふ棚広し


罫線をぬが飛び出して夏見舞


短夜の隣の部屋のコントかな


前説の仄明るさや台風裡


残されてピアノまぶしき水の秋


木枯らしに手売りチケットよくしなる


羽ばたきの鋭き白や冬の鳩


乾燥機に大回りなるパンツかな


◇「隣の部屋」:高瀬みつる(たかせ・みつる)
1994年生まれ 東京都在住
所属団体:なし

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