関西現代俳句協会

■2017年4月 青年部 招待作品

仮住まひ/甲斐千晶








 仮住まひ

 甲斐 千晶




成り行きのうぐひす餅を出迎へる


春雨の乾かぬうちに道尋ぬ


聞き取れぬ寝言の増えし弥生かな


春風に追われぬやうに髪を切る


十割は嘘か演技か猫の恋


からつぽの家に朧の仮住まひ


囀りを離す空から暮れにけり


つり革の手の皆軽き春日かな


をだまきの開けば空の重くなる


閉店の文字の明るき春の果


◇「仮住まひ」:甲斐千晶(かい・ちあき)
1991年生まれ 大阪府在住
所属団体:なし

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