関西現代俳句協会

■2017年1月 青年部 招待作品

鶴だつた折り紙/西生ゆかり








 鶴だつた折り紙

 西生ゆかり




マフラーが今年最初に君を抱く


電話で風邪を半分分けてもらふ


別れると決めた男に毛糸編む


千羽鶴のどれかに犯人の指紋


手品師が出しつ放しのずわい蟹


湯冷めする前に手首を切らうかな


再会や結局手袋は脱がず


静電気まだ半分もある寿命


火を点けてもらひたがつてゐるタオル


鶴だつた折り紙もう捨てるしかない


◇「鶴だつた折り紙」:西生ゆかり(さいしょう・ゆかり)
1984年生まれ 東京都在住
所属団体:「街」

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