関西現代俳句協会

■2017年1月 青年部 招待作品

動物園/森優希乃








 動物園

 森 優希乃




雨すこし光る熊らしき足跡


凍星のよく燃えカレーよく煮える


初夢を見るためのみづ汲みにけり


仕舞ひ忘れて歌留多の女のかほ


頭の雪の最も多き猿がボス


着ぶくれて飢ゑの時間の動物園


雪片のすぐに失する河馬の背


頭蓋骨の裏まで火事に照らさるる


焼藷を眩しく割つたはうの勝ち


春の雪明日から母のゐなくなる


◇「動物園」:森優希乃(もり・ゆきの)
1996年生まれ 福岡県在住
所属団体:「いつき組」

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