関西現代俳句協会

■2016年5月 青年部俳句作品

窮屈な闇/西澤日出樹








窮屈な闇

 西澤日出樹

長野



産声をあげて始まる五月かな


花は葉に友の言葉に縛さるる


葉桜のもとに会ひたし横恋慕


夏の宵喉の渇きと脱ぎし服


サイダーの弾けて汝と濡れにけり


窮屈な闇から逃げる夏の潮


太陽を見詰めつづける孔雀草


香水は催眠術のやうなもの


蛸の墨教科書を塗り潰せしと


夏の雨縄手通りのカフェテラス


◆「窮屈な闇」:西澤日出樹(にしざわ・ひでき)◆

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