関西現代俳句協会

■2016年2月 青年部俳句作品

喪の家/岡田一実








喪の家

 岡田 一実

愛媛



海へ雪扁桃体の明滅す


冬眠の脳を頭蓋のひた隠す


外套の臭気ふくらむ列車かな


常闇を猛禽渡る気の流れ


また蜂の来て日の中の花八手


底冷や雨に喪服の濃き斑ら


葬斂に歓談の間やシクラメン


曼荼羅に転生兆す魂や冴ゆ


はらわたに梵鐘とどく寒さかな


喪の家に初日差したる現世かな


◆「喪の家」:岡田一実(おかだ・かずみ)◆

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