関西現代俳句協会

■2015年12月 青年部俳句作品

メメント・モリ/堀田季何








メメント・モリ

 堀田季何



一九三八年一一月九日深夜

水晶の夜映写機は砕けたか


クリスマス積木を積むは崩すため


石段のはては祭壇冬銀河


つばくろとなり葬列をさかのぼる


囀れりわがししを喰ひちらかして


紋白蝶重し病者の鼻梁には


桜桃や目の昏さ似て異母姉妹


箱庭は橋落ちてをり岸に人


片陰にゐて処刑台より見らる


万緑を疾走す血の乾くまで


◆「メメント・モリ」:堀田季何(ほった・きか)◆

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