関西現代俳句協会

紹介 (2020年事務局受贈分)

『尾張波浄 阿讃伊土集』

林 和利・翻刻/村手孝直・編

2020年6月1日発行

 尾張波浄(寛政9(1797)年〜明治4(1870)年)、本名酒井莊吾、医師で庄屋であった。  尾張一宮神明津に在住。号は櫟窓、居宅の櫟の巨樹に因む。京都花の本 八木芹舎の門人である。
 天保11(1840)年に妻を亡くし孤老となり、俳道に没頭する。一宮の常念寺、美濃笠松の慈眼寺や京都の師の元、あるいは嫁いだ娘たちの元に寄食。
 安政4年から万延元年(1857〜1860)の4年に渡り、四国の阿波山城の圓明寺に籠もる。吉野川の小歩危渓谷を眼下に臨む自然に囲まれた山寺である。
  圓明寺18世宥賢上人と共に四国各地の多くの俳人と交流し句会を何度も催した。
 「阿讃伊土集」はこの句を編纂したもので、阿波・讃岐・伊予・土佐の四国の国名に因む。
 波浄の自序には、四国で交わった、俳人達の面影を懐かしみ書き記したとある。
 句は桜木の額に彫られ圓明寺の本堂に掲げられた。春夏秋冬の4部にまとめられ、自然の豊かさや人々の日々の暮らしを詠んだ句が多い。

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