第5回関西現代俳句大会
第5回関西現代俳句大会は平成27年4月25日(土)、ホテルヴィアーレ大阪において、応募者242名、投句総数1221句の参加を得て、併催の理事会・総会・懇親会とともに盛大に開催された。
開会の挨拶は吉田成子会長、「今年から選者特選賞を設けた。選句数も10句増やしたので、高得点句が増えると考えていたが、そうはならなかったのは選者の選句がばらけたことで、全体のレベルが上がっている証拠である。こういう大会に投句するのは、自分の作品の評価を確かめる楽しみがあり、他結社のひとの作品を知る機会でもある」との挨拶があった。
引き続き杉浦圭祐氏の披講により大会賞1名、選者特選賞22名、秀逸賞8名、佳作賞8名の発表があり、当日出席された13名の選者の方々によって講評が行なわれた。大会賞の藤井美智男氏の句については、宇多喜代子顧問より「能の世界を彷彿とさせる句である。芒野をくぐってゆく時間の経過が表現されていて、大勢の共感を得られた」との講評がなされた。
(各賞入選作品と受賞者については下記の一覧表、俳句大会の模様については、以下の写真をご覧ください。)
■第5回関西現代俳句大会・入賞作品および受賞者
入選句
大会賞 |
芒野を出てくる少しずつ老けて |
藤井美智男 |
秀逸賞 |
影法師先に歩ませ冬に入る |
井上菜摘子 |
〃 |
自画像の居並ぶやうな日向ぼこ |
倉橋あつ子 |
〃 |
着ぶくれて孤独しづかに育ちゆく |
樋本 和恵 |
〃 |
同じ方へ曲る靴音敗戦日 |
桑田 和子 |
〃 |
嬰児ごと引っぱって来し花筵 |
岩成 天風 |
〃 |
木に草に雨ゆきわたる草城忌 |
桑田 和子 |
〃 |
寒卵割る音今日のはじまる音 |
佐野 延子 |
〃 |
雪折れの傷はけものの匂いする |
岡崎 淳子 |
佳作賞 |
人の世の何処かが軋む年の暮 |
松村 筐花 |
〃 |
自らの影を離れて春の蝶 |
高橋 将夫 |
〃 |
壷に挿す風のかたちに秋の草 |
山城 馨子 |
〃 |
色鉛筆転がり春を追ひかける |
雨村 敏子 |
〃 |
白菜を包むノーベル賞の記事 |
中俣 博 |
〃 |
笹鳴やいつもどこかで電子音 |
片山 熙子 |
〃 |
本流に出て力ぬく雪解水 |
村松 桂子 |
〃 |
三猿に徹して解かぬ懐手 |
藤田かもめ |
選者特選賞
赤尾 恵以選 |
母といた昭和最後の手毬唄 |
林 仁子 |
伊丹三樹彦選 |
君悼むためにわれ在り冬薔薇 |
岡崎 淳子 |
宇多喜代子選 |
梟の首ひと回りして戦前 |
藤村 寿子 |
尾崎 青磁選 |
稲穂波土偶の腰の張りゆたか |
山田 和 |
柿本 多映選 |
はじまりの音して木の実落ちにけり |
東 徹 |
久保 純夫選 |
色鳥や残してゆきし山の雨 |
赤尾 徳也 |
小泉八重子選 |
冬の鵙母は戦に子を出さず |
藤村 寿子 |
鈴鹿 仁選 |
かくれんぼかくれたはずの枯野原 |
松浦てつ子 |
高橋 将夫選 |
冬の川動かぬやうで堰落つる |
五十川智恵子 |
谷口 洋選 |
枯野出るころに身軽になっている |
米崎璃津子 |
谷下 一玄選 |
自画像の居並ぶやうな日向ぼこ |
倉橋あつ子 |
豊田 都峰選 |
秋祭り担ぐ御輿の神知らず |
尾崎 青磁 |
豊長みのる選 |
晩学の一机一灯年明くる |
川嶋 充 |
花谷 清選 |
みほとけは指より朽ちて寒の寺 |
片山 嘉子 |
日原 輝子選 |
美しくヘの字ハの字に鳥帰る |
西久保弘道 |
政野すず子選 |
凍星を連れて無頼の猫帰る |
中田いつ子 |
的場 秀恭選 |
妹はいもうとのまま赤のまま |
小崎 愛子 |
室生幸太郎選 |
遺影撮るための寒紅薄く引く |
田畑耕之介 |
森田 智子選 |
冬いちごよりもおそらく死は甘美 |
蔵田ひろし |
吉本伊智朗選 |
るいるいと人の世にある蟻地獄 |
柏原 才子 |
吉田 成子選 |
夏衣富士の山裾踏んでをり |
高橋 将夫 |
若森 京子選 |
子離れのだんだん眠く雪積もる |
一門 彰子 |
当日配布しました冊子「第5回関西現代俳句大会入選作品集」は在庫がありますので、ご希望の方にお送りいたします。(残部僅少) >> お問い合わせ
懇親会
先ほどまで結婚式の披露宴の行なわれていたクリスタルルームに席を移して懇親会が開催された。
司会は吉田星子氏、吉田成子会長から「各賞の入賞者の皆様おめでとうございます。入賞を惜しくも逃された方も、お呼びでなかった方も楽しんでください」との開会の挨拶に続いて、高橋将夫副会長から「これからも会員相互の絆を深め、結束を強める機会であり、この祝宴で親睦を深めていただきたい」と乾杯の音頭でスタートした。
昨年の忘年&句集祭と同様の着席形式で行なわれ、料理も好評の中、途中の挨拶は宇多喜代子顧問・柿本多映顧問がそれぞれに含蓄のある話をされ、各テーブルごとに盛り上がる中、尾崎青磁副会長の締めの言葉で祝宴は惜しまれつつお開きとなった。
(蔵田ひろし記)
> 総会についてはこちらをご覧下さい。
■第5回関西現代俳句大会の模様
赤尾恵以氏よりの講評
宇多喜代子氏よりの講評
尾崎青磁氏よりの講評
柿本多映氏よりの講評
久保純夫氏よりの講評
鈴鹿仁氏よりの講評
高橋将夫氏よりの講評
花谷清氏よりの講評
日原輝子よりの講評
政野すず子氏よりの講評
的場秀恭氏よりの講評
吉田成子氏よりの講評
若森京子氏よりの講評
大会賞 藤井美智男氏の表彰
■懇親会の模様
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