関西現代俳句協会

第38回句集祭&平成25年度忘年会

 日 時 : 平成25年12月7日(土)15時10分~19時30分
 会 場 : ヴィアーレ大阪

 写真集はこちらをご覧下さい。

1.句集祭点描

 司会は上藤おさむ事務局長。昨年に劣らぬ出点数と参加者数であると笑顔の吉田成子会長の挨拶で開会した。

 15点の句集と3点の文集の計18点の披露と句集代表句の披講が朗々と杉浦圭祐氏によって行われた。

 著者挨拶の登壇者は12名である。登壇の順に著者の一言。

 句集『青の記憶』の荒川美邦氏。
 杖を手に壇上へ。八十歳になって出した句集です。

 句集『石の声』の石井冴氏。
 口下手だた五七五の定型に導かれ魅せられた。

 文集『戦後生まれの俳人たち』の宇多喜代子氏。
 戦後ではなく第二次大戦後とすべきではないかという意見もあった。

 句集『やさしい下駄』の内山思考氏。
 「花(鼻緒)を持たせる(下駄)」と洒落。

 句集『蝶のみち』の岡崎淳子氏。
 同級生に読んでもらうには今しかないと思った。

 句集『夢谷』句集『仮生』の柿本多映氏。
 『仮生』の代表句に因んでの話。死んだら魂魄は体を離れると。

 句集『紀州春秋』の川村祥子氏。
 転勤転居罹病罹災を経て、今安住の地紀州の恩愛に。

 句集『如意宝珠』の高橋将夫氏。
 心経も素粒子も話材に。全ては一からはじまると。

 鑑賞集『句戀わが俳句野帖』の豊田都峰氏。
 野帖とは地検の際のひかえ帖です。

 句集『野上』の政野すず子氏。
 63年添った夫と死別、黄泉を素直に語れると。

 句集『みをつくし』・句文集『夏炉冬扇』の的場秀恭氏。
 第1句集を15年前に出した。

 句集『京あふひ』の村田あを衣氏。
 熱く、長年母と一緒に学んだこと。

  次いで理事会報。
 11月末会員数6,598名のうち関西会員は922名であること。合同句集の句集祭への参加を次の総会で検討すること。先に発刊の年鑑の訂正を機関紙1月号に添付することなどについて上藤事務局長より報告された。

 重ねて吉田会長より、先の吉野の桜支援の色紙短冊の売上げが300万円を超えたことが報告された。

 閉会挨拶は若森京子副会長。句集はその人の分身である。句集を出した人はみな満足して清々しい表情をされている。俳句に生きた証しとして句集をと強調された。

2.懇親会点描

  三木基史青年部長の司会。当ホテルは初めてですが食材偽装だけは無いそうですとユーモラスに吉田成子会長の開会挨拶。

 乾杯は例年のことだがと和田悟朗顧問。椅子席8卓である。次々と出される洋風卓料理に加え、各自希望の飲物が提供され素敵な懇親が展開された。

 宇多喜代子顧問のご挨拶。最近は冊子作成の技術が進んで句集作りも容易になっているとして、来年の句集祭を大いに期待していると語られた。

 豊田都峰前会長のご挨拶。8年間会長をつとめ各位に大きなご協力をいただいたと感謝を述べられ、新しくご就任の吉田成子会長は吉野の桜支援の色紙短冊展示即売会という新しい企画を成功させ意欲的に取組んでおられると語られた。

 上藤おさむ事務局長は会場内掲示の代表句の筆を執られた尾崎青磁氏を紹介され、続いて当会場のホテルが船場小学校の跡地であることなど由緒ある安土町について述べられた。

 懇親会の盛り上がる中で、三木基史青年部長はカメラを手に各テーブルへ明るく声を掛けながら出席者全員の写真を撮り廻られた。

 ここで司会の交替があり、岡村知昭氏がマイクを持たれた。

 先ず、代表句の筆を執られた尾崎青磁氏が壇上へ。今日の酒はうまかったと笑顔で語られた。

 各所属俳句会の紹介は登壇の順に会名を以下列記する。会名の後の括弧内は代表として挨拶された方です。

 京鹿子(鈴鹿呂仁氏)。槐(高橋将夫氏)。藍(花谷清氏)。暁(政野すず子氏)。風来(和田悟朗氏)。杭(辻本冷湖氏)。渦(赤尾恵以氏)。南海俳句会(古梅敏彦氏)。あざみ(川村祥子氏)。一粒(中井不二男氏)。海程(若森京子氏)。幻(西谷剛周氏)。頂点(石川日出子氏)。俳星会(安藤喜久女氏)。季流(西川吉弘氏)。瀚海(藤田文代氏)。駅(谷口洋氏)。草樹(吉田成子氏)。

 唯一人抜群の歌唱力を披露されたのは内山思考氏。

 青年部の活動は三木基史。来年に雑誌「インサイトゥー」3号を関西青年部より発行予定と。

 閉会挨拶は花谷清氏。来年の句集祭へどのくらいの方が出していただけるか楽しみであると結ばれた。

 (中俣 博・記)

第三十八回「句集祭」参加作品一覧
句集『青の記憶』           荒川 美邦
密約のさくらへ時の流れ出す
句集『石の声』             石井 冴
ムカシトンボだけにささやく石の声
全句集『続・伊丹三樹彦全句集』  伊丹三樹彦
酢蓮根日本国籍七十年
文集『戦後生まれの俳人たち』   宇多喜代子
句集『やさしい下駄』         内山 思考
大洋の原虫として泳ぐなり
句集『蝶のみち』           岡崎 淳子
大津波ヒトに鰭なく翼なく
句集『春の雪』            音羽 和俊
滾り立つもの皆眠らせよ春の雪
句集『夢谷』              柿本 多映
烏瓜引けば男の傾ぎけり
句集『仮生』              柿本 多映
魂魄はスカイツリーにゐるらしい
10 句集『紀州春秋』           川村 祥子
海山に恩愛の色桐の花
11 句集『如意宝珠』           高橋 将夫
一切は種一粒の中にあり
12 鑑賞集『句戀わが俳句野帖』    豊田 都峰
13 句集『霧の左岸』           中井 之夫
橋脚が水割っている冬の景
14 句集『歌時計』             花谷 和子
何かはじまる野の一点の鶏頭炎え
15 句集『野上』              政野すず子
黄泉までの道草笑い茸いちめん
16 句集『みをつくし』           的場 秀恭
山の彼方へかなしき顔す昼寝覚
17 句文集『夏炉冬扇』          的場 秀恭
18 句集『京あふひ』            村田あを衣
手鏡は母とおそろひ年迎ふ