関西現代俳句協会

2005年6月エッセイ

「曲水のまねごと」  谷下一玄

 三月三日、京都市城南宮の曲水の宴で行われる曲水に倣って一度はしてみたかった「曲水」の句会を計画し、吟行委員の御世話で行うことにした。

 当日集まった有志二十二名堺市大仙中町の大仙公園内にある日本庭園内の「桃源台」にあるあずまやの「知春亭」。床面の曲水をも含めて、「流盃亭」という。孫悟空の顔の形の曲水で、先ず園丁さんに頼んで曲水の溝の掃除を園丁さんと一緒に竹箒でする。その次には水を流す量の調整である。水道の蛇口をひねって水量を調節。

     真っすぐに来て曲水となりにけり

 機転のきくだれかが、早速笹舟を作って水の速さをはかってみる。

盃の流れる速さは約五十六秒である。これくらいなら一題一句は詠めるのではと挑戦することにして、二十二人を五つのグループに分けて一番から五番までの順番を決めて、一番目のグループへのお題は二番目のグループが出すことにして、二番目のグループのお題は三番目のグループが出す。以下順番に従ってはじめてみる。

 第一グループへのお題は“水走る”である。時間まで題はいわないので作句時間は丁度一分間である。

         流觴の遅吟に水の走りけり

  各グループそれぞれの作句は総檜造りの門をくぐり、銅葺きの休憩所である堺が最も繁栄し中世の納屋衆の会所を模した建物の座敷の会場で清記されて句会がはじまる。

 初めてのことなので、手探り状態で行われたが結構楽しい時間をもつことができた。京都の城南宮とは雲泥の差があっただろうが、真似ごとだけはできたように思う。次回はもっと本格的に園内の石津川を利用してやれば、貴族社会で行われた様に風雅なものが出来ると思う。将来、半夜の行事にするというだけではなく、堺市の風物詩となれば他結社との交流も盛んになるものと思うのである。

 来年はぶっつけ本番でなく、周到に用意して本格的にやりたいものである。