関西現代俳句協会

会員の著作(2023年事務局受贈分)

  句集

『中くらゐの町』

岡田由季

ふらんす堂 2023年6月2日発行



  水鳥に会ふときいつも同じ靴

三十代までに十数回の転居をしましたが、
気が付くと、今の住居での暮らしが十九年ほどにもなります。
都会でもなく、本当の田舎でもない、
当地での生活にいつしか馴染んだようです。

岡田由季・・・・・「あとがき」より


○帯より

 一〇〇〇トンの水槽の前西行忌

 自宅から土筆の範囲にて暮らす

 雉の駆け込みし玉ねぎ小屋の裏

 県庁と噴水おなじ古さかな

 甘藍に囲まれ天使幼稚園

 歌仙巻く女たちみな素足かな

 集まらぬ日の椋鳥の楽しさう

 初鴨の油の抜けしやうな顔

 かいつぶり毎日無理をしてゐたり

 水鳥に会ふときいつも同じ靴

 水仙の先へ廊下を継ぎ足せる

 法螺貝の素の音の出る春隣


○発行所

 ふらんす堂

 〒182-0002
 東京都調布市仙川町1-15-38-2F

 電話 03-3326-9061

 (定価 2,750円(税込))

◆句集『中くらゐの町』: 岡田由季(おかだ・ゆき)◆

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