関西現代俳句協会

会員の著作(2022年事務局受贈分)

  句集

『砂時計』

横田明美

幻俳句会 2022年11月1日発行



  幻俳句シリーズ第八弾
  細やかな観察力と斬新な切り口から生れた俳句とエッセイ

夜桜に紛れ込んでる宇宙人
リハビリの息を吹き込む紙風船
リラ冷えやガラスの靴のプロポーズ
凍て返る大地に銃を抱く女
廃坑の鉄扉の臭気蔦紅葉
梅雨深むあなたに借りたままの傘
論戦は佳境ビール缶ぐしゃり
ディズニーのプールに星が降りてくる
ひたひたと秋さらさらと砂時計
正論も正座も苦手獺祭忌
湾岸の巨大プラント鷹渡る
やわらかく沈めるナイフ夜の桃
冬晴れの海光返す星条旗
水に浮くアルキメデスの冬林檎
枯葉降るふるふる自動販売機
冬銀河砂漠に眠る棺いくつ

裏表紙より

 明美さんは、俳句の基本を根底に、鋭い観察眼、新しい視点で句材に挑戦し続ける俳人で、その成果は句やエッセーに表れている。英会話、文学講座、創作タンスと幅広く活動されているが、次の句集ではもっと肩のカの抜けた、遊び心のある句も見てみたいなあ。

西谷剛周・・・・・「序」より

 二十年程前、公民館で古典を学んでいた頃のこと、たまたま先生が某俳句結社の同人であったことから、休憩中に枇杷をほおばりながら「俳句も教えていただきたい」と誰かが言い出し、「じゃ、ここで一句作ってごらん」ということに。 みんな「五七五」と指を折って数えながら初めての俳句に挑戦しました。その時、実は枇杷の数が足りず、私の口には入らなかったのです。そこで、

  くちびるに触れたき枇杷の実のひとつ

これが私の生まれて、初めての食いしん坊俳句です。ここから俳句人生が始まりました。

横田明美・・・・・「あとがき」より


○発行所

 幻俳句会

 (非売品)

◆句集『砂時計』: 横田明美(よこた・あけみ)◆

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