関西現代俳句協会

会員の著作(2021年事務局受贈分)

  句集

『隣の駅が見える駅』

塩見恵介

朔出版 2021年5月15日発行



平成を駆け抜けた「船団」時代を総決算。

 俳人たる者、季節の変わり目に敏感であるべきだけれど、私の場合は、初夏というよりは「惜春」を思いたいし、初秋の風を身に受けながらいつまでも「夏の果て」に心を寄せている。「紅葉」が見頃になるまでは身に冬を寄せ付けたくない。明るい春夏に自然と句が多く集まる作句傾向もこなれない感じだが、これが私の現状である。陰暦五月を他の月より飛び抜けて数多く描いた『枕草子』をひもといては、勇気づけられながら句をまとめた。ただ、桜や紅葉の句が少ないのは清少納言の四季感の影響ではなく偶々である。 

塩見恵介・・・・・「あとがき」より


○帯「自選12句」より

 アウンサンスーチー女史的玉葱S

 飛魚を鎖骨に飼っている女

 バナナ売り今日はアンテナ売っている

 守護霊がおられるのですビールに泡

 大の字になって素足に風を聴く

 蟬しぐれ友だち百人出来て邪魔

 爽やかや象にまたがる股関節

 月ノ出ルアッチガマンガミュージアム

 ノーサイドきみは凩だったのか

 牛乳のちょっと混じった雪女

 蒲公英を咲かせて天と地の和解

 燕来る隣の駅が見える駅


○発行所

 朔出版

 〒173-0021
 東京都板橋区弥生町49-12-501

 電話・FAX 03-5926-4386

 (定価 1,800円+税)

◆句集『隣の駅が見える駅』: 塩見恵介(しおみ・けいすけ)◆

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