関西現代俳句協会

会員の著作(2019年事務局受贈分)

  句集

『天真』

千坂希妙

星湖舎 2019年11月27日発行



 九条葱よ下仁田葱につんとすな

 この中に月を観た蟻ゐませんか

 黒揚羽フランシスコと呼べば来た

 しつぽなきトカゲとヒトは間抜けやね

 夏痩せて女ちりめんじやこめつてい

 以上は千坂希妙の傑作。
 俳句って
  かほどに奇妙、
  かほどに楽しい。

坪内稔典・・・・・帯より

 

 千坂希妙さんが私たちの前に現れたのは二〇一五年九月の「青垣」大阪句会だったから、それほど前ではない。その時、<新涼の似たる龍の眼達磨の眼>を出句され、私は特選にいただいている。全くの初心者なら無理なことなので、後でお聞きすると、すでに坪内稔典代表の「船団」に参加しており、若い時分は、日本浪漫派の評論家として有名な保田輿重郎の主宰する歌会に参加していたという短詩形文学の素地は十分だったのだ。

大島雄作・・・・・「命を見つめて」より

 

 二十代の前半、日本浪漫派で知られた保田輿重郎氏(以下敬称略)の御宅にしばしば伺った。そのころの奥重郎は京都双ケ岡の邸宅に閑居しておられたが月一回歌会が催されて、若輩のぼくも末席に加えてもらったのである。ぼくの短歌は結局五年ほどで頓挫した。教職に就いて忙しかったのと、歌才を欠いていたせいだろう。以後、詩文詩想とはほとんど無縁の生活であったがある年の暮、大津の義仲寺の輿重郎の墓に詣でた折、突然申し訳ない気分に襲われた。

千坂希妙・・・・・「あとがき」より

 

○発行所

 星湖舎

 〒543-0002
 大阪市天王寺区上汐 3-6-14-303
 電話 06-6777-3410

 (定価 2,000円+税)

◆句集『天真』:千坂希妙(ちさか・きみょう)◆

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