関西現代俳句協会

会員の著作(2018年事務局受贈分)

  句集

『森へ』

宇多喜代子

青磁社 2018年12月7日発行



劫から瞬へ

永劫と瞬時をここに滝しぶき

短から涯へ

短夜や生涯木の家より知らず

露から地球へ

球形の大地に凝りて露の玉

 一句は、そして一冊は
 時間と空間を自在に往還し、
 百年や二百年を一足で跨ぎ、
 星々を容易く摑み取る。
 森羅万象の躍動する森へ、いざ。

栞文より

 

 句集『森へ』は、私の第八句集となります。息苦しくなくと原生の森を安息の場と思念し、再生のよすがとします。集名の所以です。

宇多喜代子・・・・・「あとがき」より



○帯より

 一瞬が一瞬を追う雪解川

 樟落葉肩打つ膝打つわが戦後

 寒天に置く月一個と定めたり

 中空におおきな螺旋朴落葉

 ふくろうのふの字の軽さああ眠い

 白梅やこの家の百年二百年

 十二月八日のかたちアルマイト

 生きていること思い出す夏座敷

 蛇の手のおぼしきところよく動く

 日光月光ここまでは来ぬ弾礫

 

○発行所

 株式会社 青磁社

 〒603-8045
 京都市北区上賀茂豊田町40-1
 電話 075-705-2838

 (本体 1,800円+税)

◆句集『森へ』: 宇多喜代子(うだ・きよこ)◆

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