関西現代俳句協会

会員の著作(2018年事務局受贈分)

  句集

『ジュークボックスよりタンゴ』

池谷秀子

本阿弥書店 2018年7月30日発行



  白息やどうどマンモス倒れたか
  山茶花が咲くから遅刻してしまふ

不思議な句ばかりだ。
白息とマンモスはいったいどういう関係なのか。
遅刻を山茶花の所為にしていいのか。
どんな発想をしているのかと秀子さんの頭の中を探ってみたいと思ったとき、もう秀子ワールドの中に踏み込んでしまっている。

大島雄作・・・・・「序」より

 

 俳句を始めた頃、句集を作るのが夢だという仲間の言葉を聞いてびっくりした覚えがある。その頃の私は、作ってしまった俳句には興味がなく、これから作る句のことばかりを考えていたから、句を纏めて発表しようなんて気持ちは全くなかった。せっせと句を作り、いつも次の句会が楽しみだった。

池谷秀子・・・・・「あとがき」より


○帯「自選十句」より

 私には生えないしつぽ東風(あゆのかぜ)

 月さして赤ん坊には浮く力

 意地悪な目をしてふはふはの兎

 秋の蝶古きフィルムのごと飛んで

 父の忌の山茶花の白洗ひたて

 もう一度母が華やぐ盆提灯

 田の水の沸きて神々多産系

 ごつごつと当たるリュックの夏蜜柑

 保父さんをよぢ登る子ら春よ来い

 ゆつくりと懐く子供や水温む


○発行所

 本阿弥書店

 〒101-0064
 東京都千代田区猿楽町2-1-8 三恵ビル

 電話 03-3294-7068

 (定価 2,800円+税)

◆句集『ジュークボックスよりタンゴ』: 池谷秀子(いけや・ひでこ)◆

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