関西現代俳句協会

会員の著作(2015年事務局受贈分)

  句集

『はじまり』

上森敦代

飯塚書店 2015年10月15発行



  新月の氷が水に還る音

月はこの日から、
齢を重ねていく。
ゆうゆうと地上を見おろして。
水はこの星の上で、
形を変えながら、
記憶を紡いでゆく。
永い営みの線上に、
ささやかな日々が連なる。

上森敦代・・・・・栞文より


○帯「自選十句」より

 真ん中がへこんでおりし春の水

 水筒に円く闇あり初桜

 ゆくはるのうすももいろのこなぐすり

 夏の蝶ひらりと国を忘れたり

 右耳を最後にしまう夏帽子

 瓜の馬さっき戻ってきたばかり

 新月の氷が水に還る音

 遺伝子のわずかに違う稲の花

 千里眼という真っ青な冬帽子

 半日はこの世にありし雪達磨


○発行所

 飯塚書店

 〒112-0002
 東京都文京区小石川5丁目16-4

 電話03-3815-3805

 (定価 2,400円+税)

◆句集『はじまり』: 上森敦代(うわもり・あつよ)◆

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