関西現代俳句協会

会員の著作(2014年事務局受贈分)

  句集

『紀伊日和』

満田三椒

本阿弥書店 2014年10月28日発行



この作者の特質の第一は、向日性の明るい笑いである。
満田さんらしい視線は、あたたかく人間くさい。
笑いに情が加わるのである。

佐怒賀正嘆・・・・・「序に代えて」より



 平成元年。広告代理屈に勤務時代、お世話になっているコピーライターの先輩から「仕事のほかに何か趣味を持ったら人生の後半が楽しくなるよ」と言われて始めた俳句。さっそく地元の樟豊氏指導の打田俳句会に入れてもらったのが三十八歳の時、熟年の方々の中ではかなり若い会員だった。翌年から石原八束主宰の寸秋」に入会させていただいた。、その頃から一年毎の俳句をワープロで纏めて製本し、気の合う仲間に贈ったりして楽しんでいた。

 (中略)

 伊勢で生れて和歌山に居を構えたことから、句集には「紀伊」の文字を入れたかった。それと、今までさしたる苦労もなく、日々楽々、毎日が「日和」のように生きてこられたのも、すべてしっかり者の妻と陽気な子供達のお蔭と感謝している。

満田三椒・・・・・「あとがき」より


○帯より9句

 決闘のごとく二人の焚火かな

 二度舐める大きな切手春よ来い

 窓越しの一本背負ひ蒲団干す

 香水に説得されし会議かな

 単身赴任レタスを齧る夜長かな

 かの世まで透けて高野の天高し

 おおさむと聞こゆる雪の阿吽像

 寝転びて桜の海の深海魚

 夏雲の継ぎ目で跳ねる機内食


○発行所

 本阿弥書店

 〒101-0064
 東京都千代田区猿楽町2-1-8 三恵ビル

 電話 03-3294-7068

 (定価 2,800円+税)

◆句集『紀伊日和』(きいびより): 満田三椒(みつだ・さんしょう)◆

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