関西現代俳句協会

会員の著作(2014年事務局受贈分)

  句集

『宇多喜代子俳句集成』

宇多喜代子

角川学芸出版 2014年8月28日発行



高潔真撃の句業

十八歳から俳句を始めた著者は、桂信子(「草苑」主宰)に出合い、その伸びやかで真撃な俳句精神に鍛えられる。
「和して同ぜず」を信条に先達俳人らと淡交、中上健次の「熊野大学」への参加や、日本の歳事や里山を見直す活動にも力を注いできた。
伝統俳句、新興俳句、前衛俳句の枠を超えて、広い視野から現代俳句を公平明晰に評価してきた俳人でもある。
本書は、第一句集『りらの木』から第六句集『記憶』までの既刊句集一五〇八句に、新たに第七句集として編まれた『円心』一六八句を添える。
凛然たる気風を持ち続けたひとりの女性俳人の俳句道として、また時代をしなやかに生き抜いたひとりの人間の人生の軌跡として、六十余年の句業を集成する!

(帯文より)

  

  麦よ死は黄一色と思いこむ

私の精神の産土に見えてくるのは、かぎりなくつづく麦秋の黄と青田の水の匂い。三十代で体調を崩し、過敏になっていた耳には、熟麦の禾の触れ合うさらさらという音が聞こえるように思われることがあった。折々の不安 を救ったのは、家族や善意の方々のさりげない言葉。ぞれといささかの暢気気質。失意のとき、言葉の真には百薬に勝るものがあった。

(自註より)


○発行

 株式会社KADOKAWA

○編集

 角川学芸出版
 〒102-8177
 東京都千代田区富士見2-13-3
 電話 03-5215-7820(編集)

 (定価 7,000円+税)

◆句集『宇多喜代子俳句集成』: 宇多喜代子(うだ・きよこ)◆

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